【コラム】ディメンションゼロの盛り上がりの裏側で・・・?
2007年11月13日 お仕事 コメント (1)前回お話したように、もう一つ私が提議したい問題がある。それは、ディメンションゼロというカードゲームのについての認識と価値観だ。
これはオフィシャルページの件もそうだが、この認識については一つの共通意識が存在するものだと私は考えている。それは「既存のカードゲームユーザーのみをディメンションゼロの世界に引っ張ってこよう」という考え方である。この認識があるからこそ、オフィシャルページの問題も生まれてきたのだと思う。
確かに、D-0の一番最初はそのようなコンセプトで生まれたカードゲームだった。実に様々なカードゲーマーがD-0を手に取り、プレイし、戦略・セオリーなどをアレコレ考え楽しんでいたのがビフォアからファーストベーシックにかけての流れだった。
しかしながら、クレーターミュラーが環境を支配すると離れる者は60%を超えた(と、推測する)。そして残ったのは生粋のディメンションゼロユーザーだけとなってしまった。そこから急激に勢いは下降し、初のグランプリ直後に出たベストストラクチャーデッキも思ったほどの成果を出せなかった。そこから先は話題を呼んだ2ndベーシックで一度盛り返しを見せたものの、暴走が振るわず、結局世の中市場的には「ディメンションゼロというゲームは今回『たまたま』局地的に売れただけで、やっぱりこんな物か、先は見えたな」で処理された。3rdセンチュリー新エキスパンションも、暴走の一件があった以上、余剰を恐れて商品展開を渋るショップは増えそうな気配だ。
だが、これが問題なのではない。(もっとも、2ndベーシックの後に暴走みたいなエキスパンションを作ってしまったことは多少なりとも問題があるのかもしれないが)この流れは必然的なものである。
店舗の支援部門の1商品、1タイトルとしてディメンションゼロを扱う店舗の多くはクレーターミュラーで時計が止まっている。つまりどういうことかと言えば、我々が今のディメンションゼロがどんなに他のカードゲームよりも面白く、魅力ある点が多いゲームであることを知っていても、世論によってのみジャッジされる部分で言えば、商品に対して売れる要素が1としたら売れない要素を10として考えられてしまうということである。要は同じ楽しいゲームならば、一般のカードゲームショップで考えれば鉄板主力商品のMTG・GW・遊戯王・アーケード以外のゲームは別に取り扱わなくていいという考え方もあるのである。(あくまで一般。実際には上記のゲームが鉄板でない店舗もあります)
真に問題なのは、この流れを無意識のうちに作ってしまっているディメンションゼロ普及活動に熱心な、主力商品としてディメンションゼロを取り扱っている店舗である。
結論から言うと、現在のディメンションゼロのシングルの全国平均売価は安いと思っている。特に、シルバーレアは本当に儲けが出ているのか?と思うくらい全体的に安い。レアはシルバーレアの余りみたいな物で、数があるからまだいいにしてもBOXに3枚しか入っていないシルバーレアまでレアと同じ感覚で価格がつけられているところさえある。
例えばこれが同じ出現率の(値段がD-0の約半分だから、だいたい同じ出現率である。サーチは考えない方向で)遊戯王やデュエルマスターズのキラカードも、光っていないレアカードと同じ感覚で強さや人気の具合を見比べて値段をつけるのか?という話だ。おそらくそんなショップはないと思う。では、なぜパックの値段が倍のディメンションゼロではそれができないのか?カードが光っていないから?シルバーレアだからと言って明らかにデザインがよいわけでもないから?
答えは、『トーナメントプレイヤー』に売ろうとしているからだ。普及活動に熱心であるがゆえに生半可な知識があるため、どうしてもトーナメントプレイヤーを意識して、彼らが納得(?)して購入するような値段設定をしてしまうのだ。彼らが多い店ほどこの傾向にある。しかも困ったことにD-0のトーナメントプレイヤー客の多くは常連だったりする。
トーナメントプレイヤーに売ろうとすると、どうしても単価は安くなる。しかしそれだと販売した後、その供給方法がない。そうすると後はカードの買取しかなくなるが、前述のルールがあるわけだから高くは買えない。かくして、地域密着型店舗の負のサイクルが出来上がる。
トーナメントプレイヤーがいち早くシングルを手に入れる
↓
店のシングルはスカスカ
↓
パック空けなどで供給ができない
↓
安い買取で物をそろえようとするがトーナメントプレイヤーが手放さないからそろわない
↓
販売ストップ。ディメンションゼロの新規ユーザーにもシングルは行き届かないので、あらゆる面からマイナスである。
物がないという事実は、実は広い視野で見れば業界自体のマイナスになっている。特に地方だとショップがそう何軒もあるわけではないので、シングル自体が置いてないのとほぼ同意義なのである。シングルが充実していなければやはり初心者の方にはディメンションゼロの魅力は伝わらないし、作りたいデッキも作れないようでは、やはり魅力を伝えようとしても伝えきれるものではない。必然的に歴史の差で商品が充実している他の鉄板ゲームに流れるという予想が付くだろう。
余談だが、かつてエメラルドティアー不能極が全盛だった時、エメラルドティアーが350円買取の店があった。いったいいくらで販売するつもりなのかは知らないが、少しでも価値を知っている人ならば、手放そうと思う人は一人もいないのではないかと思う。
ぶっちゃけると、私はディメンションゼロの価格基準はカードキングダムに合わせるべきだと思っている。カードキングダムは基本的に競合店よりもシングルを安く売ろうとするのではなく、充実させることに意味を見出し、それを付加価値をつけて販売することに神経を使っている。価格が高いシングルは、逆に言えばそれだけ魅力があるというカードだという説得力にもなるし、対戦やレポートを通してお客様をサポートしているから、高いカードでも購買意欲をそそられ、買っていただけるのだ。ディメンションゼロでこのサイクルを全国的に統一していけば、もう少しディメンションゼロの価値も上がるのでは?と妄想してやまない。
今のままではゴールドレアも価値がない。世界に10枚しかないプレミアムカードも、おそらく「へ〜」で終わってしまう。
アーケードゲームが着実に新規ユーザーを獲得し、伸びたのもこのカード1枚に対する価値観が原因だと思う。1枚1、2万円もする、強いカードを手にしている喜び、征服感は本当に大きいからこそ、アーケードゲームが注目され遊ばれているのだ。ディメンションゼロは賞金という最大の魅力があるが、まずそれを現実にできるカードが手に入らなければ、その征服感を刺激することができないだろう。征服感を刺激すること、つまりそういう価値基準をまず全国的に作り出すことが大事なのではないか?
なぜディメンションゼロを安売りするのか、という話に戻るが、それは彼らトーナメントプレイヤーが別のゲームを掛け持ちでやっていることに起因する面があると思う。
「カードゲーマーを引き込もう」という弊害、メインのゲームがあってD-0をサブのゲームとして選ぶということは資産のつぎ込み方もそれ相応ということだ。私みたいによほどD-0に惚れ込んでD-0をメインのゲームとして選ぶ人間でない限りは、サブでやっているD-0にそこまでお金を使いたくないはずである。かくして買い渋りが発生し、ショップはそれに敏感に反応してシングルの安売りを始めてしまう。
ショップはまずはこの敏感な反応をやめるべきだ。D-0をサブでやっている人間にシングルを売るよりも、D-0をメインでやりたい、真に遊びたいお客様や興味を持って始めていただける人にこそ自信を持って売ってもらいたい。
ディメンションゼロはまだ始まってたったの3年、いや2年と数か月しか経っていない。歴史が浅いゲーム上にアニメなどのメディア戦略がないまったくのオリジナルゲームに、いきなりの爆発的な売上を期待はできない。
だから、こういうショップに意識の改革を求めたい。今せっかく勢いに乗ろうとしているのだから、自分たちの手で勢いを止めるようなことはしないで欲しい。地道に変えていけば少しづつプラスになっていくものだから、D-0業界をプラスにするために、できれば協力していただきたい。
そうしてまずは新規ユーザー、ライトユーザーを増やしていくことで、D-0人口を増やしていってほしい。人口が増えることで、それがいつか、トーナメントプレイヤーのサブをメインに変えてくれることだろうと信じたい。もちろん半分にも満たない数だろうが、そこから1人でも多く本気のユーザーが増えてくれればそれで十分である。急激なプラスの変化などありえない、これからの地道な努力こそが人口を増やしていける鍵だと私は思う。
これはオフィシャルページの件もそうだが、この認識については一つの共通意識が存在するものだと私は考えている。それは「既存のカードゲームユーザーのみをディメンションゼロの世界に引っ張ってこよう」という考え方である。この認識があるからこそ、オフィシャルページの問題も生まれてきたのだと思う。
確かに、D-0の一番最初はそのようなコンセプトで生まれたカードゲームだった。実に様々なカードゲーマーがD-0を手に取り、プレイし、戦略・セオリーなどをアレコレ考え楽しんでいたのがビフォアからファーストベーシックにかけての流れだった。
しかしながら、クレーターミュラーが環境を支配すると離れる者は60%を超えた(と、推測する)。そして残ったのは生粋のディメンションゼロユーザーだけとなってしまった。そこから急激に勢いは下降し、初のグランプリ直後に出たベストストラクチャーデッキも思ったほどの成果を出せなかった。そこから先は話題を呼んだ2ndベーシックで一度盛り返しを見せたものの、暴走が振るわず、結局世の中市場的には「ディメンションゼロというゲームは今回『たまたま』局地的に売れただけで、やっぱりこんな物か、先は見えたな」で処理された。3rdセンチュリー新エキスパンションも、暴走の一件があった以上、余剰を恐れて商品展開を渋るショップは増えそうな気配だ。
だが、これが問題なのではない。(もっとも、2ndベーシックの後に暴走みたいなエキスパンションを作ってしまったことは多少なりとも問題があるのかもしれないが)この流れは必然的なものである。
店舗の支援部門の1商品、1タイトルとしてディメンションゼロを扱う店舗の多くはクレーターミュラーで時計が止まっている。つまりどういうことかと言えば、我々が今のディメンションゼロがどんなに他のカードゲームよりも面白く、魅力ある点が多いゲームであることを知っていても、世論によってのみジャッジされる部分で言えば、商品に対して売れる要素が1としたら売れない要素を10として考えられてしまうということである。要は同じ楽しいゲームならば、一般のカードゲームショップで考えれば鉄板主力商品のMTG・GW・遊戯王・アーケード以外のゲームは別に取り扱わなくていいという考え方もあるのである。(あくまで一般。実際には上記のゲームが鉄板でない店舗もあります)
真に問題なのは、この流れを無意識のうちに作ってしまっているディメンションゼロ普及活動に熱心な、主力商品としてディメンションゼロを取り扱っている店舗である。
結論から言うと、現在のディメンションゼロのシングルの全国平均売価は安いと思っている。特に、シルバーレアは本当に儲けが出ているのか?と思うくらい全体的に安い。レアはシルバーレアの余りみたいな物で、数があるからまだいいにしてもBOXに3枚しか入っていないシルバーレアまでレアと同じ感覚で価格がつけられているところさえある。
例えばこれが同じ出現率の(値段がD-0の約半分だから、だいたい同じ出現率である。サーチは考えない方向で)遊戯王やデュエルマスターズのキラカードも、光っていないレアカードと同じ感覚で強さや人気の具合を見比べて値段をつけるのか?という話だ。おそらくそんなショップはないと思う。では、なぜパックの値段が倍のディメンションゼロではそれができないのか?カードが光っていないから?シルバーレアだからと言って明らかにデザインがよいわけでもないから?
答えは、『トーナメントプレイヤー』に売ろうとしているからだ。普及活動に熱心であるがゆえに生半可な知識があるため、どうしてもトーナメントプレイヤーを意識して、彼らが納得(?)して購入するような値段設定をしてしまうのだ。彼らが多い店ほどこの傾向にある。しかも困ったことにD-0のトーナメントプレイヤー客の多くは常連だったりする。
トーナメントプレイヤーに売ろうとすると、どうしても単価は安くなる。しかしそれだと販売した後、その供給方法がない。そうすると後はカードの買取しかなくなるが、前述のルールがあるわけだから高くは買えない。かくして、地域密着型店舗の負のサイクルが出来上がる。
トーナメントプレイヤーがいち早くシングルを手に入れる
↓
店のシングルはスカスカ
↓
パック空けなどで供給ができない
↓
安い買取で物をそろえようとするがトーナメントプレイヤーが手放さないからそろわない
↓
販売ストップ。ディメンションゼロの新規ユーザーにもシングルは行き届かないので、あらゆる面からマイナスである。
物がないという事実は、実は広い視野で見れば業界自体のマイナスになっている。特に地方だとショップがそう何軒もあるわけではないので、シングル自体が置いてないのとほぼ同意義なのである。シングルが充実していなければやはり初心者の方にはディメンションゼロの魅力は伝わらないし、作りたいデッキも作れないようでは、やはり魅力を伝えようとしても伝えきれるものではない。必然的に歴史の差で商品が充実している他の鉄板ゲームに流れるという予想が付くだろう。
余談だが、かつてエメラルドティアー不能極が全盛だった時、エメラルドティアーが350円買取の店があった。いったいいくらで販売するつもりなのかは知らないが、少しでも価値を知っている人ならば、手放そうと思う人は一人もいないのではないかと思う。
ぶっちゃけると、私はディメンションゼロの価格基準はカードキングダムに合わせるべきだと思っている。カードキングダムは基本的に競合店よりもシングルを安く売ろうとするのではなく、充実させることに意味を見出し、それを付加価値をつけて販売することに神経を使っている。価格が高いシングルは、逆に言えばそれだけ魅力があるというカードだという説得力にもなるし、対戦やレポートを通してお客様をサポートしているから、高いカードでも購買意欲をそそられ、買っていただけるのだ。ディメンションゼロでこのサイクルを全国的に統一していけば、もう少しディメンションゼロの価値も上がるのでは?と妄想してやまない。
今のままではゴールドレアも価値がない。世界に10枚しかないプレミアムカードも、おそらく「へ〜」で終わってしまう。
アーケードゲームが着実に新規ユーザーを獲得し、伸びたのもこのカード1枚に対する価値観が原因だと思う。1枚1、2万円もする、強いカードを手にしている喜び、征服感は本当に大きいからこそ、アーケードゲームが注目され遊ばれているのだ。ディメンションゼロは賞金という最大の魅力があるが、まずそれを現実にできるカードが手に入らなければ、その征服感を刺激することができないだろう。征服感を刺激すること、つまりそういう価値基準をまず全国的に作り出すことが大事なのではないか?
なぜディメンションゼロを安売りするのか、という話に戻るが、それは彼らトーナメントプレイヤーが別のゲームを掛け持ちでやっていることに起因する面があると思う。
「カードゲーマーを引き込もう」という弊害、メインのゲームがあってD-0をサブのゲームとして選ぶということは資産のつぎ込み方もそれ相応ということだ。私みたいによほどD-0に惚れ込んでD-0をメインのゲームとして選ぶ人間でない限りは、サブでやっているD-0にそこまでお金を使いたくないはずである。かくして買い渋りが発生し、ショップはそれに敏感に反応してシングルの安売りを始めてしまう。
ショップはまずはこの敏感な反応をやめるべきだ。D-0をサブでやっている人間にシングルを売るよりも、D-0をメインでやりたい、真に遊びたいお客様や興味を持って始めていただける人にこそ自信を持って売ってもらいたい。
ディメンションゼロはまだ始まってたったの3年、いや2年と数か月しか経っていない。歴史が浅いゲーム上にアニメなどのメディア戦略がないまったくのオリジナルゲームに、いきなりの爆発的な売上を期待はできない。
だから、こういうショップに意識の改革を求めたい。今せっかく勢いに乗ろうとしているのだから、自分たちの手で勢いを止めるようなことはしないで欲しい。地道に変えていけば少しづつプラスになっていくものだから、D-0業界をプラスにするために、できれば協力していただきたい。
そうしてまずは新規ユーザー、ライトユーザーを増やしていくことで、D-0人口を増やしていってほしい。人口が増えることで、それがいつか、トーナメントプレイヤーのサブをメインに変えてくれることだろうと信じたい。もちろん半分にも満たない数だろうが、そこから1人でも多く本気のユーザーが増えてくれればそれで十分である。急激なプラスの変化などありえない、これからの地道な努力こそが人口を増やしていける鍵だと私は思う。
コメント
何となくイメージはありましたが、とみーさんから発せられると重みが違います…
D-0はとみーさんも指摘されている通り、既存のTCGの概念では商売しづらい商材なのだと思います。
ゆえに、CKのような既存のTCG店とは違う売り方をしている店舗の売り方が参考になる。
D-0は「安い買取で物をそろえようとする」という姿勢の部分が非常に難しいTCGだと思います。
カード単体のパワー差が比較的少ないタイトルですから。
ところが普通のTCG店は主力のタイトルであっても安く買取を出して、どうせ売る人いるだろくらいに思ってるように思います。
そういう商売の仕方とは相容れないので続かないのかもしれませんね。
地方都市のその地域に数少ないTCGショップで安売りして売り切りになってしまうとその後が本当に厳しそうですね…